まいだいありー。

twitter:@alice_mai

舞台「アサルトリリィ Lost Memories」感想

はじめに

2022/1/20~30にかけて上演された、舞台「アサルトリリィ Lost Memories」の感想ブログです。

前回の舞台(TFG)の際に書いたブログと同様、キャラクターごとに感想を書いたうえで、最後に全体の感想を書いていこうと思います。
前回ブログを書いたことで、自分の感じたものを整理できたことはもちろん、後から読み返すことで当時の気持ちを振り返ることができたのもとっても良かったと感じました。言葉にしておくこと、大事ですね。

観終わって少し経った今の気持ち、しっかり残しておきたいと思います。

一柳梨璃(赤尾ひかるさん)

前回書いたことと全く同じことを書くのですが、今回も梨璃の真っ直ぐさ、想いの強さに圧倒されました。

お姉様である夢結のことを大切に思い、どんなことがあっても絶対的に信じる気持ち。シュッツエンゲルを解消すると告げられた後の悲しむ様子からは、梨璃の夢結に対する想いがいかに強いものであるかが痛いほど伝わってきましたし、それでも夢結が苦しんでいることを理解し、夢結を苦しみから救いたいと都庁へ向かう姿には梨璃の真っ直ぐな強さを感じました。

夢結が過去の出来事を思い出して苦しんでいる時に、「美鈴様は二度もお姉様を救ってくださったんですね」と夢結に寄り添う優しさと、「美鈴様が救ってくださった命、絶対に無駄にしてはいけません!」と向き合う強さ。夢結に守られるだけではなく、隣で一緒に戦う力強いリリィの姿がそこにはありました。

同じことは御前(咲朱)に対しても言えて、夢結の大切な人と戦うことの辛さを感じたからこそ、同じような優しさを持つ咲朱も辛いはずと寄り添い、元の咲朱様に戻ってくださいと真正面から立ち向かい、その言葉が届いてあの結末を導いたんですよね。

そんな梨璃の優しさと強さを、赤尾さんが本当に見事に演じてくださいました。公演を重ねるごとに、その言葉に、表情に込められた感情がどんどん強くなっていくことを感じて、私自身の感情の揺さぶられ方もどんどん大きくなって、舞台でしか味わうことのできない感覚、感動をたくさんいただきました。

ラストシーンでの、「そばにいる仲間を大切に、世界中のリリィを信じて」という言葉。梨璃の歩んできた道であると同時に、アサルトリリィという作品全体を通したメッセージのように感じました。リリィに限らず、私たち一人ひとりにも当てはめられる言葉。そんなメッセージを素直に感じられるほど、梨璃からもらったものは大きかったです。本当に、梨璃がぴちゃんで良かったです。座長、ありがとうございました!


白井夢結(夏吉ゆうこさん)

ご本人もおっしゃっていましたが、舞台のたびに苦しい思いをしている夢結。中でも今回は今までで一番の感情の振れ幅だったと思います。

そんな夢結の心の動きを、時に繊細に、時に激しく演じられる姿に、胸が締め付けられる思いでした。御前との会話から、梨璃へシュッツエンゲルの解消を告げるまでの一連のシーンでは、様々な表情の変化から夢結の考えていることが伝わってきて、セリフになっていない夢結の苦悩や決意を読み取ることができました。美鈴様の最期を思い出すシーンでは、いかにその記憶が夢結にとって辛いものであったのかが伝わり、見ているこちらまで苦しくなっていました。

そんな夢結が、梨璃に「私はあなたを守り、生きる」と伝え、御前に「あなたももうあの頃のあなたではない」とCHARMを向けるシーン。自分にとって大切なものが何かを見つけ、過去を振り切って先へ進もうとする姿に、心が熱くなりました。
このシーン、並んで立つ梨璃と夢結のCHARMが角度も高さも完全に揃っていて、2人のCHARMが重なって一つのCHARMのように見えていました。その光景が、二人が力を合わせて前に進もうとしている姿に見えて大好きです。

御前との戦いの中で、「梨璃も、あなたも救いたい!」と御前に気持ちをぶつける夢結は、それまでの夢結より一歩前に進めたように見えました。それは梨璃と、美鈴からもらった気持ちのおかげなんですよね。3作品を通して描かれてきたシュッツエンゲルの絆によって姉妹が救われたこと、その結末を見届けることができて本当に嬉しかったです。

「大切を数えよう」落ちサビでのロングトーン、毎回大好きでした。いつかまた、一緒に大切を数えられる日がくることを願っています。


楓・J・ヌーベル(井澤美香子さん)

今作の楓さんはコメディエンヌな部分は控えめで(エピローグでの梨璃とのやりとりは置いておいて。笑)、梨璃と仲間のことを大切に考えている頼れる人、という印象が強かったです。祀と梅がLに対してゼノンパラドキサと縮地で向かっていったときに、レジスタでバフをかけたうえで自身も戦いに加わりLに手傷を負わせる…という一連の動きはまさに強者のそれで、楓の頼もしさを感じました。「遅いですわ!」かっこいい。

嬉しかったのが、二手に分かれる場面でのミリアムとのやりとり。前作でもフェイズトランセンデンスを撃つミリアムを支える姿が描かれていましたが、ミリアムのことを信頼しているからこそ残るように頼み、自分は梨璃を守ると約束するところに、この二人の友情を感じました。あのグータッチ、いいですよね…。パーソナリリィ組の絆。

関係性といえば二水との関係性も描かれていて、周りのリリィのすごさに圧倒される二水が「私ここにいて大丈夫でしょうか…」と言ったのに対し、「ほら二水さん、行きますわよ!」と楓が声を掛けるシーン。二水の能力を誰よりも理解し、信頼している楓だからこそ(参照:ラスバレ内ストーリー「ノーブルリリィ・レポート」)、当たり前のように二水の力を当てにしているんですよね。ラスバレでキャラクターや関係性の理解が更に進んだことによって、舞台を楽しむための視点が更に増えていて、こういう楽しみ方ができるのは様々な媒体で物語が展開しているからこそだなと感じます。


二川二水(西本りみさん)

そんな二水。今回も鷹の目が大活躍でしたね。戦況だけでなく、かなり離れているはずの夢結の行動まで見ることができるようになっているの、もしかして以前よりスキルレベル上がっていませんか…?西本さんの眼の使い方(俯瞰するように観ている)もすごくて、明らかに普通ではない見方をしていることが分かります。

戦闘の場面では、二水は決して強いリリィではなくて腰が引けてしまっていることも多いのですが、しっかりCHARMを構え、自分より明らかに強い相手にも勇気を持って挑みかかっていました。最後の御前との戦いでは、二水も一柳隊の一員として鶴紗のピンチを救う有効打を与えられていて、そんな進歩も嬉しく思いました。

西本さんがTwitterでおっしゃっていた言葉「二水にもできることがある。二水にしか出来ないことがある。」シリアスなストーリーの中で、要所要所で笑いを届けてくれる二水の存在は、一柳隊の舞台に欠かせないものだと思います。船田姉妹に対する反応や週刊リリィ新聞、毎公演楽しみに見ていました。

公演後のちょっぴしトーク、西本さんのリリィ新聞号外の回以降、一気に「こんなに自由でいいんだ!」という雰囲気になって、皆さんいろんなお話をしてくれるようになりましたね。その点も、舞台経験が豊富で、二水というキャラクターを演じる西本さんならではだと思いました。

 

安藤鶴紗(紡木吏佐さん・矢新愛梨さん)

紡木吏佐さん。出演された2公演を観ることができました。

前作に引き続き、その感情の吐露の演技には心をわしづかみにされました。琴陽に対する「痛いでしょう?」のシーン、強化リリィとして同じ痛みを抱えてきたからこそ、琴陽にも同じ立場で向き合い、その苦しみに気づかせるために感情をぶつける姿。鶴紗にしか言えない、説得力に満ちたものでした。

 

矢新愛梨さん、まず何よりも、鶴紗を繋いでいただきありがとうございました。

公演初日を客席で見ていた舞台に、途中から代役で入るというプレッシャー。わずか1日の休演期間で公演を再開できたこと、どれだけ大変だったのか想像もできません。

公演を重ねるにつれて、どんどん鶴紗としての魂がその芝居に乗ってきて、キャラクターとの一体度が増していっているのを強く感じました。公演期間終盤での琴陽に対するシーンは、セリフの裏にある鶴紗が抱えてきた痛みや苦しさまでもが強く伝わってきて、琴陽を想う気持ちにあふれていて、鶴紗そのものでした。

その後に夢結のことを「かけがえのない仲間」という場面。この言葉を言う鶴紗から、仲間を想う気持ちが伝わってきて、だからこそ琴陽も御前のことをかけがえのない仲間であると気づけたのだと思います。

御台場の舞台でも引き続きアンダーキャストを務められているとのこと、とっても頼もしいです。いつの日か、矢新さん自身が演じるリリィを見られる日が来ることを願っています。


吉村・Thi・梅(岩田陽葵さん)

今作もかっこよかった…!縮地発動時の足さばきの華麗さに、後ろ脚を空中で蹴り上げることで二段ジャンプしているようにさえ見えるジャンプ攻撃のダイナミックさ、常に低い体勢で駆け回り、1年生を気遣いながら先頭になって戦う姿。大好きです。

今作でも、梅の夢結に対する想いの深さをいろんな場面で感じることができました。直接のセリフのやり取りは前2作に比べるとそこまで多くはありませんでしたが、祀との会話や「これからは一人で戦うわ」と言う夢結に対する反応、都庁へ向かったと聞いた時の表情など、様々な場面で夢結への想いを感じました。と同時に、そんな梅の姿に胸が苦しくなってしまうほどでした。

そんな梅にとって、今回は祀という存在がいたことがとても大きかったと思います。お互い、夢結を支え続けてきた二人。そんな二人の絆も劇中の随所に見られて、梅の今までとは違う一面を見られたことが嬉しかったです。

御前とのラストバトルでの決着直前、御前に吹き飛ばされた梅が夢結とアイコンタクトをする場面があって、その一瞬に二人の信頼関係が詰まっているようで、大好きな場面です。

今回のOP曲、「ただ君を思ってる」の部分で梅は最初梨璃を見て、その後に梨璃の目線の先にいる夢結を見ていました。梅にとって、夢結と同じくらい梨璃が、一柳隊が大切なものになった。劇中の梨璃やみんなへの言葉からもそのことを感じ、そのことがとても嬉しかったです。


郭神琳(星守紗凪さん)

ラスバレのおかげでキャラクターの理解が深まり、より視点が豊かになった、ということを書きましたが、神琳でも強くそのことを感じました。

琴陽に対し、甲州撤退戦での友人の死は無駄死にだったと思うのかと聞くシーン。ラスバレの「朋友のブルーストライク」で、彼女の故郷である台北がヒュージによって壊滅させられ家族もその戦いで失ったこと、その復讐の思いを彼女がずっと持ち続けてきたことが語られています。そんな経験を持つ彼女にとって、「ただのリリィなど利用されて無駄死にするだけ」と言う琴陽の言葉は到底受け入れることができないものだったのでしょう。この言葉を聞いている時の神琳の表情をじっくり見ていると、彼女の中でどのような思いが浮かび、琴陽に対する言葉が出てきたのかをその表情の変化から追うことができました。こういうの、まさに観劇の醍醐味だって思います。

その後の、雨嘉の「だったら殺せばいい!」のシーンでは、マソレリックを構えてもし何かあったらいつでも飛び掛かれるようにしていて、こういう細かいオフ芝居が見られるのも本当に楽しいです。

その他にも、琴陽が襲ってきた場面で「二手に分かれましょう」と冷静に判断する司令塔としての姿や、段差からジャンプしてマソレリックを振り回す攻撃的な姿など、いろんな神琳の一面が見られました。

 

王雨嘉(遠野ひかるさん)

今作の雨嘉を語るにあたり10人が10人挙げるであろう、琴陽に対して「だったら殺せばいい!」と向き合う場面。この時の雨嘉の感情が公演を重ねるたびにものすごいことになっていました。

琴陽の身に起きたことを思い、今までの琴陽の言動を見て、「あなたにはできない」と真正面から琴陽に向き合う雨嘉。きっと雨嘉は琴陽のことだけでなく、神琳から聞いた台北のお話や、強化に苦しむ鶴紗のことも思い浮かべて、そんな痛みを知る琴陽に気持ちを重ねて、あの言葉を言っていたのだと思います。

演じる遠野さん自身が、そんな雨嘉の気持ちに憑依しないとあそこまでの表現はできない。そう感じるほどにキャラクターに入り込んだ演技に、毎回心をぎゅっと掴まれていました。


ミリアム・ヒルデガルド・v・グロピウス(高橋花林さん)

舞台版ミリアムの魅力は、なんといっても明るさとそこに隠された優しさだと思っています。今作、そんなミリアムの魅力を最も感じたのが、琴陽とのシーンでした。

神琳や鶴紗たちの言葉を受けて、「殺せばいい」と言う雨嘉を傷つけることができなくて、どうすれば良いのか分からなくなってしまう琴陽。そんな琴陽に「もう意地を張るのはやめるんじゃ」とミリアムが声をかけることでその場の空気が優しくなり、その後の琴陽の心変わりへのきっかけを作ってくれていたと感じました。

特に、千秋楽で見た光景が忘れられません。琴陽に話しかける前、一瞬涙をぬぐったミリアムが、そんな涙を感じさせない笑顔で琴陽に声をかけていました。あの涙は高橋さん自身の気持ちの高まりから流れたものだったのだと思うのですが、その涙を振り切って明るく優しい気持ちを琴陽に向ける姿に、心から感動しました。文章ではあの時感じた気持ちの半分も表現できていないのが悔しいくらい。


秦祀(田中那実さん)

今作が舞台初登場の祀様。演じる田中さんはこれが初舞台とのことですが…本当ですか!?ってくらいに素晴らしかったです。

凛とした立ち振る舞いに、友人として夢結と梅を心配し、力になりたいと思う優しさ。TVアニメでも描かれていたそのキャラクターをより深い形で見ることができ、祀という人間をより理解できました。

そして印象的だったのが、御前の正体が分かった時の感情が公演を経るにつれてどんどん強くなっていっていたことでした。おそらく、公演を経るごとに夢結の美鈴様、咲朱への想いをより強く感じ、それを夢結の友人である祀の立場で受け止めたからこそ、あのような変化が観られたのだと思います。一つとして同じものは無く、公演を通して進化していく舞台。本当に楽しいです。

梅のところでも書きましたが、夢結を支え続けてきた二人を同じ舞台で見られたことが本当に嬉しかったです。仮面を外した御前を見る夢結の反応を見て二人だけその正体に気づいたり、「美鈴様のレアスキルはラプラスだったはず…」で顔を見合わせたり、2年生だから通じ合える部分が多く見られました。


相澤一葉(藤井彩加さん)

今作の一葉は、今まで以上に隊長としての頼もしさを感じました。アイアンサイドの幸恵やロネスネスの純といった面々に並んでも一歩も引けを取らず、一柳隊を支えて選抜組の中心として動いていたように思います。

印象的なシーンが、ラージ級とのデュエルの場面。上段中央で梅のような回転斬りを見せたかと思ったら、上手に移動してからは「え、それどうなってるの!?」というくらいにCHARMも自身も回転させながら射撃をするという一連の流れが美しすぎて、今回の戦闘シーンの中で1,2を争うほど好きです。

あとは一葉だけでなくヘルヴォル全体のお話になりますが、「ヘルヴォルのおかげで、エレンスゲの印象がだいぶ変わったわね」と幸恵や船田姉妹が話すシーンがありました。LoGで「エレンスゲのリリィは無駄に死んだりしない!」と叫び、TFGでヘルヴォルの仲間とエレンスゲを変えるという決意を語った一葉。その努力の結果がこのシーンに表れているのだと思うと、思わずぐっときてしまいます。


佐々木藍(夏目愛海さん)

成長期!!

というのは夏目さんがTwitterで使われていた言葉ですが、まさに今作の藍は成長期でした。琴陽とのやり取りの中で、「藍を藍として見てくれるみんなのために力を使いたい」と話す姿からは、ただ戦うことが楽しいだけではない、戦う意味を見つけた成長を感じました。中盤に、梨璃に対して「行って!梨璃!」というシーンがあって、そのしっかりした感じは前作の藍からは想像がつかないほどで、明らかに今までの藍とは違うということを印象付けられました。

その他にもいろいろなセリフや行動で、藍自身がリリィとして戦うことについて考え、友達として琴陽のことを案じ、彼女が信じるもののために行動していることが伝わりました。前作の藍から明らかに考え方の成長・進化が観られるセリフ、夏目さんがこの台本をどう消化して、どう演技プランを組み立てていったのかがめちゃくちゃ気になります…!

と同時に藍らしい自由さも健在で、船田姉妹のことを「ういたん、きいたん」と呼んでしまう人懐っこさ(と恐れ知らずさ)には心から笑顔になってしまいますし、いろんな場面で見られるオフ芝居にはついつい目が行ってしまいます。

今回の藍のオフ芝居で一番好きなのは、純が来夢に対して「さっきは…助かりましたわ」と言った時に、自分を指さして「え…?らんにはー?」と言いたげな表情をするシーンです。そこから笑顔で「じゃあね、ういたん、きいたん」と見送るところまで含めて、藍らしくて大好きなシーンです。

今後、ラスバレで藍と来夢が絡むストーリーが出ることを心の底から楽しみにしています。よろしくお願いします!!!


飯島恋花(久留島璃生さん)

久留島さん、恋花を演じてくださり、ありがとうございました。

後ほど出てくる千香瑠役の小菅さんも含めて感じたことですが、代役ということで「オリジナルの演者さんが作ったキャラクターを忠実に」演じられているということに、女優さんのすごさを感じました。

おそらく久留島さんがゼロから恋花を演じるのならきっとまた違う演じ方になったのだと思いますが、既に石飛さんの恋花が確立されていたので、それを再現することに注力されていたのだと感じました。実際にセリフの言い方はもちろん、CHARM捌きやドリンクの持ち方といったところまで、そのような意識を感じました。CHARM捌きという点では、麻嶺との高速パス回しが流れるような綺麗さで、とっても好きです。

「ヘルヴォルなめんな!」を今作でも聞けたこと、それがその場に居なかった藍を除くヘルヴォル4人全員でのセリフだったこと、この状況にも負けずにヘルヴォルとして魂を繋いでくれたということも踏まえて毎回嬉しく聞いていました。

公演終了後、久留島さんが「恋花ちゃんは石飛さんにお返ししなければなりません」「今度は自分の役として頂いたキャラでこの世界を生きてみたいと思いました」とおっしゃっていて、改めて代役の大変さを感じたのと同時に、いつか久留島さんがゼロから作り上げたリリィとして戦う姿を見たいと思いました。その時が来ることを楽しみにしています。


初鹿野瑤(三村遙佳さん)

すっかり船田姉妹に気に入られてしまったブレイブ持ちさん。船田姉妹と一緒に戦っている姿が3人ともとっても楽しそうで、観ていて「良いなぁ…」ってなっていました。入れ代わり立ち代わり攻撃する船田姉妹に振り回されることなく、冷静に共闘する姿、かっこよかったです。前作であわあわしながらもしっかり戦っていたつぐみとは違う形で、船田姉妹との連携を見られたことが楽しかったです。言葉少なな瑤ですが、「言葉なく猛る」というメモリア名にもあった通り、その表情からは闘志を感じます。

あと、瑤と言えば外せないのが藍の保護者的ポジション。今回も事あるごとに藍のことを気遣う姿が見られて、母性を感じました。特にお気に入りのシーンは、初に「ヒュージがかわいいって、相変わらずおかしな子ですわね」と言われた藍にすぐ駆け寄り、「おかしいっていわれたー!!」と言っているような藍に「大丈夫、藍はおかしくなんてないよ」のようになだめるところです。

Twitterやアフタートークで話題になった、楽屋をデコりまくる姿には大いに笑顔をいただきました。のびのびと楽しそうに空き時間を過ごす姿、こういうのを見られるのも公演期間の長い舞台の楽しみのひとつだなって思います。


芹沢千香瑠(小菅怜衣さん)

小菅さん、千香瑠を演じてくださり、ありがとうございました。

小菅さんの舞台は、今までルド女やオールドメイドで何度か拝見したことがあったのですが、正直言って今回の千香瑠には驚きました。事前に知っていたのに、顔が見えない遠くからでは本当に小菅さんなの!?と思うほど、そして野中さんの千香瑠を完全に踏襲した演技に、本当に女優さんってすごい…と思いました。自分ではない人を生きるのが舞台女優、分かってはいましたがそれを実感しました。

千香瑠と幸恵の共闘シーンで、ヘリオスフィアで守る千香瑠に、幸恵が「頼もしい。うちの副隊長みたいね」と言うシーンがありました。小菅さんがルド女で演じる花蓮は、幸恵の言う副隊長のいちかに憧れていて…という関係性があることを踏まえて観ると、このシーンを小菅さんが演じていることの奇跡を感じました。いちか役の七海とろろさんもこのシーンが刺さったようでした。こういうのもシリーズ作品ならではですね。


岸本・ルチア・来夢(宮瀬玲奈さん)

宮瀬さんの演じる来夢が好きです。

1年半前のTFGで初めて宮瀬さんの演じる来夢を観て、公演を通して来夢らしさが増していく姿に心動かされました。それから2度のルド女公演を通して、どんどん役者として成長し、来夢の気持ちや考えを舞台上で表現される姿を観てきました。

そして今回。琴陽の優しさを信じ、案じる気持ちや、仕組まれた強化リリィである自身の辛さを語り、同じような思いを他の誰にもさせたくないという思い、そのために梨璃たちへの同行を幸恵に願い出る強さ、同じ境遇にある藍への友情、本当に様々な感情を見事に演じられていました。セリフがない時も、その表情から伝わる気持ちが大きくて、注目して観ていてとっても楽しかったです。特に好きなのが、藍と二人で琴陽の過去のお話を聞くシーン。心から琴陽の辛い過去に共感し、御前に救われたことを噛みしめるように聞く姿に、来夢の優しい気持ちが伝わってきました。

感慨深かったのが、OP後の登場シーンでの殺陣。アステリオンを体の周りで大きく一回転させてからヒュージを斬りつける戦い方は、来夢の実姉・幸恵のシュベスターである未来の戦い方であり、亡くなった未来の戦い方を来夢が立派に受け継いでいることに本当に感動しました。その後幸恵も同じ戦い方を見せてくれて、3人の絆を感じました。

まだキャストは発表されていませんが、ルド女・レジスタンス編も宮瀬さんが来夢を演じてくれることを信じて、楽しみにしています。


福山・ジャンヌ・幸恵(中村裕香里さん)

今作でも、選抜隊の中心として頼もしい姿をたくさん見られました。と同時に、戦友として夢結を案じる気持ちや、前作で呼び方が呼び捨てになり対等の仲間として認めた梨璃を助け、背中を押す力強さ、梅と交わす一瞬のアイコンタクトに込めた夢結をよろしくねという想いなど、一柳隊の面々との関係性もたくさん見られたのが嬉しかったです。

かと思ったら、日に日に純との距離が近くなったり、船田姉妹に「そういうとこ、好きよ」と天然な発言をしたりというお茶目な姿も今作はいっぱい見られて、ルド女舞台を通して作られた幸恵らしさが今まで以上に見られたと思います。

劇中の幸恵のセリフ、「どんな敵であろうと、何度襲ってこようと、絶対に屈しないわ。ルドビコ女学院の日々を必ず取り戻す!」ガーデン復興に向けて立ち上がる幸恵の気持ちであると同時に、このコロナ禍における舞台人の叫びのようにも感じ、二重の意味で心が震えました。ずっと幸恵を演じられてきた中村さんだからこそ、こういったセリフの説得力が増し、より心に響いたのだと思います。

今回初めてアサルトリリィの舞台を生で観た友人が、「幸恵がCHARMを回しているように見えて、まさか本当に回してないよなと思って何度も観たけど本当に回してた!」と驚いていて、改めてあの動作(CHARMフリップ)の美しさ、自然さがものすごいものなんだと実感しました。幸恵の戦い方はリリィ中最も華麗だと思っています。これからもその自由で華麗な戦いをたくさん見られますように。

船田初(西葉瑞希さん)

御台場の舞台を経て、船田姉妹のキャラクターに更に深みが出たと感じます。穏やかさの中に秘めた激しさという魅力に加え、必ず純を守るという思い、姉としての包容力が終盤で純をかばい、狼狽する純に優しく「大丈夫よ」と語り掛けるシーンに凝縮されていました。あの一言に込められた、純に対する姉としての優しさが大好きです。

戦いが終わって、まだ怪我で戦えない状態なのに笑顔で麻嶺や幸恵に礼を言い、御台場へ向かう初。かっこよすぎました…。他人に弱いところを見せず、常に毅然としている初が、その直前の戦いでは怪我した足で必死に戦い、最後はフラフラで壁に手を付きながらもヒュージを打ち倒すというシーンがあり、その対比が初らしさなのだと感じました。

純に対する愛のあるいじりは今作さらに多くなり、純を「きいたん」と呼んだり、幸恵に好きと言われてあわててその場を離れる純のことを「本当は嬉しいのよ」と暴露したりと、これも姉としての余裕なのでしょうか。

船田姉妹の戦闘シーンは、本当に毎回ものすごく楽しそうで、「ノインヴェルト戦術をしながらデュエルも継続する」という難しい作戦に対して「面白そうね」という反応をするシーンの説得力も更に増していました。

今回はロネスネスは2人だけだったので、なおさら船田姉妹の絆、関係性を強く感じました。このまま御台場の舞台を今月観られること、本当に贅沢ですよね…。

船田純(石井陽菜さん)

純さん、今作完全に萌えキャラですよね!?初日公演、客席で何度も笑いが起きていたのですが、そのほとんどが純絡みでした。純がそんな愛されるキャラクターになったこと、そんな隙が見えるほど他のガーデンのリリィたちと親しくなったこと、嬉しいです。

とはいえキャラが変わったわけでは無く、純の持つ信念と優しさは1作目からずっとそのままです。一柳隊のために集結するシーンで、お礼を言う梨璃に向けた純の表情が本当に優しくて、特に印象に残っています。

自分をかばって怪我をした初を見て取り乱す姿には、純も常に気を張っているだけで、脆さも併せ持つリリィであることを実感させられました。それだけ純にとって初が大きな存在であり、逆もまたそうで、船田姉妹は二人で一つであることを改めて強く感じました。

御台場が特型ギガント級に襲われたと聞いた時、「敵を目の前にその場を離れない」という信念のもと残ることを選択する船田姉妹。お互いがその信念を共有しているからこそ、確認し合うことすら必要なく当然のようにそう行動できるんですよね。その背景も御台場の舞台や電ホビの連載で見てきたからこそ、よりこの場面が印象的でした。

そんな二人が御台場に向かった後のお話が、あと十数日後には舞台で観られるってほんとですか!?!?楽しみで仕方ありません…!間を空けない連戦、役者としてもキャラクターとしても本当に大変なことですが、また御台場のリリィ達に会えることを楽しみにしています。


天津麻嶺(武藤志織さん)

一柳隊の舞台には今回初登場の麻嶺様。その所作がとっても優雅で、CHARMを回しながら弾を撃ったり、レアスキル・Zを駆使しながら攻撃も回復もこなす万能アーセナルという完璧超人ですよね。飄々とした普段の喋りと、ふとした時に見せる真剣な様子のギャップがまた魅力で、その眼力の強さには何度も目を奪われました。

麻嶺のセリフで好き、というか印象に残っているものがあって、琴陽に対して「戦場で犠牲になるのは誰のせいでもない」という言葉。「電撃新潟奪還戦」で描かれている通り、彼女の所属ガーデンである柳都女学館は激しい戦いを経験していて、彼女自身も多くの仲間の死を見てきたのだと思います。そんな彼女だからこそ、このセリフには重みがあって、実際に琴陽もそのことに気づけて夢結への憎しみを無くしていくんですよね。幸恵への「(ルド女を)早く復興させないとね」という言葉も、柳都のことを重ね合わせて言っているのだと感じますし、彼女が抱えているものの大きさを考えたうえでその行動や言動を見ると、本当に強い人だなと思います。

電ホビの連載は現在進行形で進んでいて、新たなアサルトリリィの世界が広がっているのを毎回楽しみに読んでいます。こうして様々な物語が進行するアサルトリリィの世界の奥深さ、本当に沼ですよね…。まだまだ深く語られていないリリィやガーデンもたくさんで、今後どこまでこの世界が広がっていくのか本当に楽しみです。


「御前」(佃井皆美さん)

ついに明かされたその正体、夢結の実姉である白井咲朱。今作では咲朱の夢結への執着が物語の大きな核になっていました。その正体をふまえて観ると、本当に咲朱の夢結に対する想いの大きさを随所に感じます。それは全く悪意ではなく、咲朱にとって夢結とともに生きることが全てになっているのだと、その行動や表情から理解できました。

悪意がない分、その笑顔は愛と狂気に満ちていて、表現することが難しい感情だと思います。でもその感情が仮面越しでも、そして仮面を外した後は表情全体から伝わってきて、前のめりな夢結への言葉と合わせて夢結への愛の形を感じました。

自分が死んだときのことを語るシーンでは、彼女の感じた絶望と、純粋に夢結を想う優しさが伝わってきました。そんな優しさを持つ咲朱だったからこそ、梨璃の言葉と想いに貫かれて、最後には夢結の気持ちを尊重する決断ができたんですよね。梨璃に貫かれてから、「白井咲朱はもういない」と宣言し、夢結に「良い仲間と幸せにね」と別れを告げるまでの一連の芝居。咲朱が夢結を愛する純粋な気持ちを取り戻し、夢結のために決断するまでの感情の動きが圧巻で、毎回食い入るように見入っていました。

これから御前としてこの世界で生きていく彼女が、リリィとヒュージの戦いにどう関わり、平和のために戦っていくのか。きっと彼女なら高みに登り、世界を救うために戦ってくれるのだと思います。そしてその側には…。


戸田琴陽(田上真里奈さん)

作中を通しての琴陽の感情の変化が、本当に見ごたえがありました。最初は御前の目的を叶えるために動いていた。リリィと戦いながらも、害をなすことはできない優しさ。そして一柳隊や来夢、藍の言葉に心を動かされ、自分自身と向き合って、御前のために御前を止める決断をする。そんな御前と向き合い、御前の夢結への気持ち、愛を「それが感情でなくて何なのですか!」と必死に訴えかける姿。最後に御前に寄り添い、側にいさせてくださいと伝え、これからも二人で歩む幸せを手に入れた喜び。ただただ文章にしただけでは伝わりませんが、その時々の琴陽の感情が一挙手一投足に込められていて、琴陽の人生を舞台上から感じることができました。

ある公演で、琴陽が出ている時は常に琴陽を見る見方をしたのですが、その時に感じた感情が本当に大きくて激しくて、観終わった後の疲労感は今回で一番だったかもしれません。そのくらい、今作の琴陽がものすごかったです。自分の語彙力のなさが憎い。

TFGで琴陽の抱える苦しみに触れ、彼女にも救い・幸せが訪れることを願っていましたが、この結末は彼女にとって最上のものだったと思います。心から大切に思える人を見つけることができ、心が通じ合い、ともに歩む仲間になれたこと。御前に対する「ありがとうございます…、本当に、ありがとうございます」に、そんな琴陽の幸せな気持ちが溢れていました。

あとこれは記録として語り継ぐために書き残しておきたいのですが、1/23のマチネで、序盤にリリィ全員がいるところにLと二人で襲撃をかけるシーンで、琴陽の使うCHARMであるトリグラフの一部が分離して舞台下に落ちてしまうというハプニングがありました。どうするんだろうとハラハラして見ていたのですが、冷静にCHARMの落ちた場所を確認し、アドリブで舞台下に降りながらセリフを継続し、何事もなかったようにCHARMを拾って舞台に戻り、流れを切ることなく芝居を続けられていました。セリフを話しながらリアルタイムにどうすべきかを考え、行動し、自然にその場を続けられたこと、田上さんの役者魂を感じました。あのような奇跡を目にできるのも一期一会の舞台ならではだと思います。


L(なつぽいさん)

今作だけのオリジナルキャラであるL。とっても難しい役どころだったと思いますが、本当に見事に演じられていました。

Lは、TVアニメ版の結梨と同じような存在なのだと思います。ただ、そんな空っぽな中に顔をのぞかせる美鈴様の想い。夢結とエレベーターに乗るシーンで、頭が痛くなるという夢結を気遣い、青空を思い浮かべて訳も分からず涙を流す夢結を抱きしめたり。そして突然、それまでの幼い子供のような話し方とは違う、「僕は、夢結を守らなきゃいけないから」と感情を込めて話す場面。その後にダインスレイフを大事そうに抱きしめるのと合わせて、確かに美鈴様の想いを感じました。

夢結をかばって御前に刺されるシーンでは、その前段階から夢結を見つめる瞳に、徐々に美鈴としての意識が入ってきて、夢結を守らなきゃという思いで行動したことが分かりました。そして、、「悲しみはすべて、僕が持っていくから」で一気に声色が変わり、美鈴としてのセリフになって。その後の回想も含めて、3つの異なる人格・キャラクターを演じ分ける必要のある大変な役でしたが、その演じ分けが素晴らしくて、確かに美鈴の意志を感じることができました。

アクションの面では、琴陽との殺陣が本当にすごかったです。CHARMを自由自在に操り、CHARMを持ったまま綺麗な片手側転を決める姿には、さすがプロレスラー!と感心するばかりでした。

スターダムの試合も、いつか現地で見てみたいと思いました。2.23の長岡、応援しています。

 

全体

今回、急速にオミクロン株の感染が広まり、更には怪我というアクシデントもあった中で千秋楽を迎えられたこと、本当に奇跡のように感じます。

アサルトリリィという物語は、リリィ一人一人が思いをマギに込めて繋ぎ、その想いの力が合わさることで大きな力になるものだと思います。今回起きたことは、まさにその通りのことでした。

感染や怪我によって出演ができなくなった仲間の想いも一緒に、アンダーキャストの皆さんの助けを得て想いを繋ぎ、スタッフさんの尽力と強い想いによって公演が成立し、キャストの皆さんが舞台上で全力で物語を紡ぎ、客席の我々がその想いを受け取る。「気持ちはひとつ柳隊、心はひとつ柳隊」とは、舞台1作目のLoGの際に座長のぴちゃんを中心に生まれた言葉ですが、その言葉を本当に実感した公演期間でした。

 

最後の戦闘で、選抜隊も一柳隊も、もう誰と誰の関係性とか関係なく、全員が助け合いながら必死に戦っていました。そんな、ガーデンやレギオンの垣根を越えたリリィの可能性を体現する光景に胸が熱くなりました(見てるか石川葵…!)。その光景があったからこそ、ラストシーンでの夢結の言葉であり、本作のテーマでもある「全員が同じ道を歩み、同じ空を見上げられるように」というメッセージをより実感することができました。

 

3部作におよんだ一柳隊の物語の結末。一人一人がリリィとして生きる姿を目に焼き付けることができて、本当に幸せでした。ずっとわたしの心に残る、大切な贈り物です。

 

一柳隊の舞台はこれで一段落となりますが、今後も御台場やルド女の舞台、ラスバレ、ライブイベントに配信番組と、アサルトリリィの世界はどんどん続いていくとのことで、本当にこれからも楽しみです。これからも末永く、リリィ達の活躍を見続けられたら、応援できたらとっても嬉しいです。

 

改めて、素晴らしい舞台を本当にありがとうございました。
そして、これからもよろしくお願いします。